2026/08/06 07:20

Apple、材料科学企業PlasmaSolveを買収 薄膜工程をシミュレーション

欧州委員会が公開した買収通知で、Appleがチェコの材料科学企業PlasmaSolveの全発行済み株式を子会社経由で取得し、一部従業員を採用することが明らかになりました。買収額や投入先は公表されていません。PlasmaSolveが持つのは、新素材そのものではなく、製品表面に薄い膜をつくる工程を試作前に計算する技術です。

PlasmaSolveが公開したPECVD装置内の電子密度シミュレーション
画像: PlasmaSolve

Appleは株式と技術者をまとめて取得

EUへの通知日は4月1日。欧州委員会はDMAに基づくゲートキーパーの買収通知を、受領から4カ月以上たって順次公開しています。MacRumorsが8月3日に今回の通知を報じ、iPhone Maniaが日本語圏の新着として拾いました。Appleは買収の目的や製品計画を説明していません。

PlasmaSolveは2016年にチェコ・ブルノで設立されました。公式サイトによると、物理・化学シミュレーション、機械学習、材料評価を組み合わせ、PVDやPECVD、イオン源の工程を改善します。2023年には専門ソフトMatSightの提供を始めています。

製品の表面を試作前に設計する

PVDとPECVDは、真空中で素材の表面に薄膜をつくる技術です。PlasmaSolveの公開事例では、装置内のプラズマやガスの分布、膜の組成や厚みを計算し、設定変更の結果を実機試作の前に予測しています。複雑な形状で膜を均一にすることや、目的の硬さ・色へ条件を詰める作業に使えます。

MacRumorsはAppleがiPhoneを含む製品で蒸着技術を使ってきたと説明しています。ただし、今回の通知はPlasmaSolveの技術をどの製品へ使うかを示していません。傷に強いiPhoneや新しい筐体色へ直結するとまでは言えず、現時点で確認できるのは、Appleが材料と製造工程を計算する能力を社内へ取り込むことです。

製品の手触りや耐久性は、形だけでなく、薄膜の厚みや均一さを決める製造工程にも左右されます。PlasmaSolve買収は完成品の発表ではなく、その見えにくい工程設計をApple内部へ取り込む動きです。