2026/10/09 07:15

OpenAI、偽記者名で約100本の寄稿を確認 ChatGPT悪用の影響工作を公表

OpenAIは、ロシアとイラン発とみる2件の影響工作に使われたChatGPTアカウントを停止したと発表しました。イラン発の活動では7つの偽の記者名を使い、約100本の記事が十数のオンライン媒体に掲載・転載されたとしています。SNSへの大量投稿より、実在する媒体への寄稿が広がりの中心でした。

OpenAIの調査報告をもとに、7つの偽記者名から約100本の掲載記事へ至る経路を示した図
画像: Interface Wire作成/データ・調査評価:OpenAI(2026年10月8日)

偽の記者名で編集部に売り込む

OpenAIの調査によると、イラン発の活動者は英語の寄稿原稿をChatGPTで推敲し、媒体ごとの投稿条件に合わせて修正しました。編集部への売り込みメールの作成にも使っています。原稿をすべてAIに書かせたと確認されたわけではありません。

偽の経歴を伴う7つの記者名で、国際情勢や米国・イラン間の紛争を扱う記事を掲載。OpenAIが確認した最も古い記事は2025年7月、最も新しいものは2026年10月です。一部は掲載媒体のSNSからも紹介されました。

OpenAIの調査報告に掲載された偽記者名Ervin Hoskinsのプロフィールと、X・Instagramのアカウント情報
OpenAIが報告した偽記者名のSNSプロフィールとアカウント所在地表示。画像:OpenAI

ロシア発の活動では「研究機関」を偽装

別のロシア発の活動では、中南米の研究プラットフォームを実質的に運営していたとOpenAIは分析しています。現地のスタッフは背後の運営者を知らずに調査や執筆をした可能性があるとされます。ChatGPTの主な用途は内部報告書の作成で、偽情報そのものの生成は一部に限られました。

OpenAIは公開情報と照合できた偽情報も示す一方、活動者の内部報告には自分たちと無関係な出来事を成果として計上した例があると注意を促しています。拡散や影響の数字を、その報告書だけで確定することはできません。

広がったのは投稿数より掲載経路

OpenAIは影響工作の到達度を測る「Breakout Scale」で、ロシア発の活動を6段階中のカテゴリー5、イラン発の記事寄稿をカテゴリー4と評価しました。一方、イラン発のSNSコメントは反応が少なく、カテゴリー2との評価です。

読者が見分けにくいのは、記事の文面だけでなく、誰が投稿を依頼し、誰の名前で媒体に載ったかという経路です。今回の数字と帰属はOpenAIの調査に基づくもので、各記事の読者数や世論への実際の影響まで示すものではありません。

OpenAIは2件のアカウント群を停止し、関係当局に情報を共有したとしています。報告書は事例と限界を詳しく示していますが、個々の掲載媒体や読者への影響は別途検証が必要です。