Core Image RAW 9、iPhone写真のAI処理をシャッター後の画質へ広げた
iPhone Maniaが7月8日に取り上げたiOS 27のRAW写真処理は、単なる写真好き向けの細かい更新に見えます。けれどDigital Camera Worldの記事とAppleのWWDC26動画をたどると、Core Image RAW 9は、RAW写真のノイズ低減と色ノイズ処理を機械学習で作り直す更新です。Apple Intelligenceの派手な会話機能ではありませんが、iPhone写真のAIは、撮る瞬間だけでなく、あとから開き、編集し、現像する基盤にも入ってきています。

RAW 9は、写真を撮った後のAI処理を見える場所へ近づける
Digital Camera Worldは、AppleがWWDC26動画「Enhance RAW image processing with Core Image」でCore Image RAW 9を説明し、RAWファイル処理エンジンのノイズ低減と色再現を改善したと報じています。記事によると、Core Image RAW 9はiOS 27とmacOS 27世代で使われる見通しです。
技術的な焦点はデモザイク処理です。カメラのセンサーが得た赤、緑、青の情報から、各ピクセルの色を組み立てる工程に機械学習を使い、従来よりノイズや不要な色の乱れを減らす。Appleの動画では、ISO 51200で撮影されたクレヨンのRAW画像をCore Image RAW 8とRAW 9で比較し、粒状感と色ノイズの差を見せているとDigital Camera Worldは説明しています。

これは、いわゆるAI生成画像とは違います。存在しない絵を作るのではなく、カメラが実際に撮ったRAWデータを、OS側の現像エンジンがどう解釈するかの話です。ユーザーから見ると、編集スライダーや補正ボタンを押す前の、写真が最初に画面へ出てくる質感に近い場所でAIが働くことになります。
重要なのは、カメラアプリだけの機能ではないこと
Core Image RAWが面白いのは、iPhoneの標準カメラアプリだけに閉じない点です。Digital Camera Worldは、Core Image RAWを、Appleの写真編集ツールやPixelmator Proのようなサードパーティーアプリでも使われるRAW処理基盤として説明しています。つまりRAW 9の改善は、アプリごとの単発機能ではなく、写真を扱う複数の入口へ広がる可能性があります。
もちろん、すべてが自動で変わるとは限りません。記事では、Appleの動画内でDavid Hayward氏が、Core Image RAW 9を有効にするには一部の画像編集アプリ側でコード調整が必要になると述べた、とされています。開発者が対応すれば、標準写真アプリだけでなく、編集アプリ、整理アプリ、プロ向けRAWワークフローにも効いてくる。対応しなければ、ユーザーが期待するほど一斉には変わらないかもしれません。
ここに、OS統合型AIのやや地味な現実があります。Appleがモデルや処理基盤を用意しても、ユーザーが触る体験はアプリの対応、端末性能、ファイル形式、既存ライブラリとの相性で決まります。RAW 9は、AI写真を『新しいボタン』ではなく、『写真アプリが画像を読む前提』へ入れる更新として見るほうが分かりやすい。
| 論点 | 今回の確認内容 | 読者にとっての意味 |
|---|---|---|
| 処理の場所 | RAWのデモザイク処理に機械学習を使うと報じられている | 撮影後に写真を開く時点の画質にもAIが関わる |
| 効果 | ノイズと不要な色の乱れを減らす方向 | 暗所や高ISOのRAW編集で差が出やすい |
| 対象 | iOS 27とmacOS 27世代のCore Image RAW | iPhoneだけでなくMac側のRAW現像にも関係する可能性がある |
| 注意点 | 一部アプリではコード調整が必要になる可能性 | OS更新だけで全アプリのRAW処理が同時に変わるとは限らない |
AI写真の入口は、生成より現像へも広がる
ここ数年のAI写真は、消しゴム、背景生成、画像生成、ピント補正のような、分かりやすい機能名で語られがちでした。Core Image RAW 9は逆です。名前は地味で、設定画面に大きく出るとは限りません。それでも、写真の見え方を決めるかなり深い層にAIを入れている。
iPhoneでRAWを撮る人は、全ユーザーの一部です。けれど、この更新が示す方向は広い。Appleは写真を、シャッターを押した瞬間の計算写真だけでなく、後から開く、選ぶ、現像する、共有するという一連の流れとして扱い始めています。RAW 9が本当に効くなら、写真のAIは『撮影時に盛る』だけではなく、『暗部や高感度の失敗を、あとから破綻しにくく読む』方向へ進みます。
Core Image RAW 9は、多くの人にとって名前を覚える必要のない更新かもしれません。けれど、iPhoneで撮った写真が編集アプリに渡る時、古いRAWを開き直す時、暗い場所のノイズをどこまで自然に抑えられるかを見る時、この種の基盤更新は効いてきます。AI写真の本命は、派手な生成ボタンだけではありません。写真を開いた瞬間に、OSがどのようにRAWデータを読み、どこまで破綻なく整えるかにもあります。